繊研新聞に掲載されました。

繊研新聞電子版2020年6月24日付(20434号)

【culture カルチャー】《とっておきギャラリー/ミュージアム》「ギャルリーラー」&「サロンドゥラー」 創造と想像が交差し遊び心を誘う

ギャルリーラー企画展「キャンドルナイ KIRIE」

銀座散歩をしていると、時としてビンテージ感漂う建物に出くわすことがある。その一つと言えるのが今回の目的地、奥野ビルだ。1930年代、今では銀座最古となった日本初住宅用手動式エレベーターを備えた高級集合住宅「銀座アパートメント」という名称で誕生し、注目を集めたと聞く。そうした背景を持つビル内に「ギャルリー」と「サロン」の二つの異なる空間を主宰し、一方ではワードローブ・コーディネーターとして活躍するのが吉本満貴子さん。10代のころから興味を抱く古着や建築物、国内外の生活様式、また幼少期に観賞した映画の登場人物で、小さなビル内にオートクチュールのアトリエを営んでいた美しき独身キャリアウーマンへの憧れが伏線となり、この歴史的建物でのギャラリー開設に至った。

「『ラー(Lã)』という言葉には『太陽(ハワイ語)、彼女(スペイン語)、あなた(ラテン語)』という意味があります。この限られた小さな空間をアトリエとしてはもちろんのこと、ときにはニューヨーク・ソーホーの倉庫のように、また都会の隠れ家的茶室風に…と、作品の持つ高いエネルギーをさらに解放させ、多彩な表情を持つギャラリーとして、作家と共に育んでいきたい」と吉本さん。築87年のアンティークな空間は、時として作品展示にはマイナスな大きな窓、自然光に左右される色合いなど、設営に苦心することも多々あるという。だが、そうした難点を最大限に活用する工夫もまた楽しくもあると加えた。

今後のギャルリーラー企画展はアート、ファッション、ギャラリーを主軸に、リモート、オンライン展示など、新たな試みにもチャレンジするという。既に「アート×ファッションに依る表現~ファッションはアート表現の一つである~」をテーマに、7月7日から11日(予定)の開催に向け、唯一無二の感性豊かなファッション創作を目指す作家による作品展の準備が進行中だそう。(アート&デザイン愛好家・筧ゆう)

〈メモ〉東京都中央区銀座1の9の8奥野ビル6階601、607▽電話03・6228・6108▽開廊と休廊時間は展示により異なる▽東京メトロ「銀座一丁目」「銀座」駅から徒歩▽入場無料

  • ギャルリーラー

  • サロンドゥラー入り口

  • サロンドゥラー企画「Miyako Godo帽子展」

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