SCHEDULE

2023.2.10(fri) - 2.18(sat)

EXHIBITION

ギャルリーラー 企画展  『ネオジャポネズリー』~今時の日本趣味~

ギャルリーラー 企画展

ギャルリーラー 企画展  『ネオジャポネズリー 』~今時の日本趣味~

当世美人画揃い・・・明治~令和まで
大正、昭和初期の才能に恵まれ精進の輝きの見られるすぐれた芸術家画家による名作版画八選と、令和を代表する作家・書家による美人画をご高覧いただけましたら幸甚に存じます。
ごお問合せ salondela.ginza@gmail.com/ 03−6228−6108
会 期 2023年2月10日(金)〜18(土) 12:00〜19:00 最終日17:00まで

※会期中2/12(日)14:00〜16:00まで、遊興亭福し満 落語独演会を催します。誠に勝手ながらご予約のお客様のみの入室となりますので何卒ご了承くださいませ。
会 場 Galerie Lã(ギャルリーラー)/Salon de Lã(サロン・ドゥ・ラー)
東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル601/607
紹 介 <おんな十二姿>
推薦  高橋誠一郎
監修  楢崎宗重 解説  山口桂三郎
解説  菊地貞夫
制作  彫師 前田謙太郎、伊藤進、久我伝吉、小池茂、
    摺師 梶川芳雄、内川又四郎、梶川弥太郎、渡辺義明 
版木  福島県産桜材版木使用
用紙  越前生漉奉書・漉元透かし入り
発行  遺珠刊行会

作品名 : 作家名 
瞳:小早川清
牡丹雪が舞う中を行きかけた女性がふと振りかえる。画題に〝瞳〟とあるのが、成程と思われる一重瞼の眼に、ぞくとする魅力を秘めた女性だといえる。無造作に束ねた髪にきれいな飾りのついた櫛をちょこんと差し、白のちじみのショールで頤まで隠した姿が、この女性の妖しいまでの美しさをより印象深いものとしている。茶地の羽織のしぼり模様は、昭和五年(一九三〇)ごろ流行した文様だという。
筆者小早川清(一八八九-一九四八)は、福岡市に生まれ、鏑木清方(一八七八-一九七二)に師事した。そして大正一三年(一九二四)第五回帝展に初入選し、以来、毎年のように入選したが、昭和八年(一九三三)第一四回の帝展へ「旗亭涼宵」を出品して特選となった。彼の代表作としては、「長崎のお菊さん」「蘭館婦女の図」「春琴」「行く春」などの作品が挙げられている。そして版画は、昭和五・六年(一九三〇・三一)の「近代時世粧」シリーズでは、なかでもほろ酔・爪・化粧・黒髪・口紅・そして本図などが知られ、また艶姿・湯上がり・舞踊なども佳作とされる。小早川氏は戦後にも数点発表されているが、やはり昭和初期のころの作に人気が集まる傾向がみられる。また画家、彫師、摺師の協力によって生まれる新版画の流れを発展させた一人として注目を集めている。本図など、清氏の画技の優秀さを示す作品であるといえる。

舞:木谷千種
髪にかけた水色の布の端を軽くくわえ、大柄な格子縞の浅黄色の小袖に黒い帯といういでたちは、いわゆるなさぬ恋に悩む風情といえるものである。そして眉を落とした跡も青々としている御内儀姿であるため、いっそう情感豊かな絵となっている。
筆者木谷千種は、明治二三年(一八九〇)大阪に生まれ、歴史的美人画を得意とした北野恒富(一八八〇-一九四七)歴史人物画に優れた野田九浦(一八七九-一九七一)などに学び、美人画を得意としたという。文展、帝展にも入選するなど女流の中堅として活躍する一方、近松研究家の木谷蓬吟に嫁し、また千種会を設立して後進の指導につくしたが、昭和二二年五八歳で没した。
本図でもかんじられるように、女性独特の繊細な神経を配り、描線をきわめて少なく、淡い色彩の配合によって、浮世絵師鈴木春信(一七二五-七〇)を思わせるロマンチックな美人像を画いている。その千種女史の工夫を活かした描線に抑揚をつけた彫師の刀の冴は、木版画の線にありがちな強さを感じさせない技が示され、また優れた手腕をもつ摺師の淡い色調の摺りによって十二分の効果を挙げているといえる。専門家である摺師の方の話では、一見単純そうに見える色彩を淡い色からだんだんと濃い色を摺り重ねていって、この調子をととのえるのだという。いわゆる浮世絵方式が効果を示した作品といえる。

菖蒲:近藤紫雲
見事に咲いた花菖蒲をバックに物思いにふける丸髷の女性のものうげな表情は、彼女が若いだけに哀愁さえ感じさせる風情である。
本図は、今回の企画に集録した島成園女史の「湯上り」と同じ「新浮世絵美人合」の一図であって、六月に割り当てられている。 バックの菖蒲、目鼻立ち、腕の描線は、浮世絵調の彫りであるが、丸まげ、着衣の版の造りは、一工夫した肉筆画を木版が複製する際に用いる版の造りになると専門家である彫師の話があり、また摺りの専門家の話では、剃毛、雑巾などを活用したボカシをはじめ独特の摺りのテクニックを工夫して回数を重ねてこの作品の味を出すのだということである。 女性の顔立ちが、一見鏑木清方画伯(一八七八-一九七二)の描く美人に近いように思われ、その線からの調査したが、筆者近藤紫雲の経歴について知ることはできなかった。もし御存知の方がありましたら御教えを請う次第です。


東京驛:山川秀峰
この図は、鉄道開通七十周年記念のため、渡辺木版画舗の注文で、伊東深水(一八九八-一九七二 )が新橋駅を、山川秀峰(一八九八-一九四四)が本図東京駅を担当した作品だという。
題材となった東京駅は、明治四一年(一九〇四)に着手され、大正三年(一九一四)に完成したという。しかし第二次大戦の際戦災に合い、上部の塔の部分が失われている。昔の姿を知る者にとっては非常になつかしい思いがするであろう。そして造花であろう髪飾りをつけたヘア・スタイルに茶地の着物に黄、茶、灰色三色の大胆な模様の羽織、そして明るい水色の帯と赤の帯揚げ、グリーンの帯締めなどの配色が、この女性の若さを表現しているといえる。
筆者山川秀峰(一八九八-一九四四)は、京都に生まれ、本名を嘉雄といい、鏑木清方(一八七八-一九七二)池上秀畝に師事した。美人画を得意として、独特の画風で一家をなした。帝展では昭和三年(一九一四)第九回帝展に「阿倍野」を出品して、特選をとり、また昭和五年(一九一四)の第十一回帝展に「大谷武子姫」を出品して、またまた特選となった。そして伊東深水(一八九八-一九七二)と共に青衿会を催して美人画の向上をはかり、「序の舞」「信濃路の女」などの名作をのこした。また版画では「さらし女」「羽根の禿」「舞踊大原女」「赤い襟」などの代表作をのこしている。

長襦袢:名取春仙
見事に結いあがった島田髷を手直しする眼の大きな娘のあどけなさが印象的な作品である。そしてふっくらとした白い腕ときゅうと締めた伊達巻で盛り上がった胸やかすかに立膝した膝などの描写によって若い女性独特の魅力があふれているといえよう。そしてしぼりであろう長襦袢の紫の部分、肌襦袢の朱色が色彩面にも優れた画面効果をかもしだしている。
筆者名取春仙(一八八六-一九六〇)は、東京に生まれて、本名は芳之助といい、号を春仙、春川といった。国民新聞などに挿絵を画いていた日本画家久保田米遷(一八五二-一九〇六)その息子金遷に師事した。平福百穂(一八七七-一九三三)にも学んだという。東京美術学校で日本画専科に学んで院展にも出品したこともあるが、やがて中退したという。そして本画から遠ざかったために、夏目漱石の小説の挿絵でジャーナリズムにみとめられ、藤村、草平、鏡花、花袋など明治の文豪の挿絵を描いた。牙声会、院展にも出品したが、大正五年(一九一六)渡辺木版画舗から「鴈治郎の紙屋治兵衛」六年「梅幸のお富」を出し、のち「春仙似顔絵集」にまとめられたという。山村耕花とはちがった繊細な美しさがその特色となっている。そして大正十五年(一九二六)に創刊した『大衆文芸』にも常連の挿絵画家として名をつらねたが、晩年画壇から忘れられ、自殺して世を去った。

舞妓:山村耕花
「唐人まげ」「しのぶあげ」かははっきりしないが、いわゆる京都の舞子独特の髪型に、大がらの花模様の黒地の着物金の大胆な模様が効果的な朱の帯とが見事な配色美をなしている。そしてバックに用いた歌麿の美人大首絵などに見られる白雲母摺りがさらにその効果を高めている。黒髪の摺りは、摺師の手腕のみせ処だといえ、おそらく数十回の複雑な摺りのテクニックを行うことによって実現されるそうである。
筆者山村耕花(一八八六-一九四二)は、東京品川に生まれる。名を豊成といい、号を耕花という。はじめ屋形月耕(一八五九-一九二〇)に学び、のち東京美術学校に入学し、明治四〇年(一九〇七)日本画専科を卒業し、その年、第一回文展に「茶比」を出品して入選した。そして明治四三年(一九一〇)第四回展に、「大宮人」を出品して褒状となった。やがて大正五年(一九一六)三〇歳で日本美術院の同人に推薦され、同人の中でも異色ある作家として注目された。彼は、浮世絵、大津絵などにも興味を持ち、また演劇、その舞台装置に深い興味を示し、渡辺木版画舗から新版画として出した役者絵が評判となり、「梨園の華」シリーズ十二枚揃が代表作といえる。このほか、風景などに優れた作がある。

女優:山中古洞
「割り忍」或いは「お福」という近代的なヘアスタイルのこの女性は、大正期(一九一二-二六)を通じて人気のあった映画女優酒井よね子をモデルとしたものであるという。浮世絵の美人画では、よく当時の評判女優を画題とした作があるが、描かれた女性はあくまでも絵師の理想とする女性像として制作されるのが普通であった。それに対して本図は写実的にモデルの特徴をとらえ、しかも人気者である点を考慮した作風は、浮世絵の作とは異なる斬新さが存在するという。女優をモデルとした木版画はきわめて珍しいといわれる。
筆者山中古洞(一八六九-?)は、東京麹町に生まれ、本性名を佐藤升といい、中山家の養子となった。月岡芳年(一八三九-九二)在原古玩(一八二九-一九二二)熊谷直彦(一八二六-一九一三)内国勧業博覧会に「清正進軍の図」を出品して褒状を受けている。そして鏑木清方(一八七八ー一九七二)などと研究グループ鳥合会を結成し、明治四〇年(一九〇七)青年作家の連合団体、国画玉成会の結成に際しては、清方と共に鳥合会を代表して参加している。晩年には世の注目を集める業績を示さなかったため、その歿年は不詳となっている。

木立の女:橋口五葉
五葉は明治三十三年、東京美術学校西洋画科に特待生として入学し、首席となり秀逸な画学生として斬界に知られた。橋本雅邦に学び、同郷の黒田清輝に認められ、同門には辻永、和田三造、青木繁など錚々たる人材がおり、兄嫁は美術学校長上の直昭の妹といった環境にもかかわらず、油絵界には進出することなく、「ホトトギス」の挿絵を描き、一方では夏目漱石の「吾輩は猫である」の装幀をもって一躍五葉の名は世界に轟いた。そして漱石、鷗外、荷風、四迷、潤一郎、一葉、抱月といった文学界の大家たちの書籍や各種雑誌の装幀、挿絵描きとなったのである。後に浮世絵版画に接近するようになり、浮世絵の史的研究、木版技術の研究を深め、著作も少なくない。そして大正四年ん十月「浴後裸女」を出したのをきっかけに版画制作に一途の道を歩み出した。
本図はおそらくこれ以前の作で木版画挿絵として創作されたと思われる。大正四年以後のいわゆる五葉版画は十三点あるが挿絵や装幀を中心に活躍していた時代の作である。前述の如く友人青木繁の感化からイギリスのラファエル前派の神秘的抒情性や文学性豊かな作風を持っており、油絵を学んだ事が木版画の中にも新ロマン派の傾向と写実性の上に浮世絵の現代化を成し遂げた作家といえる。

選出作家 下重ななみ
画家
1995年神奈川県出身 女子美術大学芸術学部美術学科日本画専攻 卒業
映像や小説の一節にいつの日かの情景を重ねるように愛しい記憶を描き残している

大山奈々子
東京都生まれ
2018年 東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻卒業
2020年 東京藝術大学大学院美術研究科修士課程日本画研究分野修了
少年から青年に移り変わる時の曖昧さや揺らぎを愛し、それが失われていくことへの嘆きを絵に描き留めることで昇華させる。 描かれた姿は瑞々しいまま永遠の時を得る。


丁子紅子
埼玉県大宮出身
現代童画会 委員
大宮光陵高等学校美術科卒業
女子美術大学絵画学科日本画専攻卒業
アートが毎日の生活の彩りに。 日本画の魅力がたくさんの方々に伝えられるような活動を目指しています。

樋口鳳香
墨絵師。現代水墨画協会 参事。
室町時代から画僧や文人、絵師たちによって継承されてきた水墨画技法を用いて 『墨美神®︎』と名づけた匂い立つような美人画を、墨のにじみの偶さかの中に表現しています。
キモノを素材にして、着物を着付けるように仕立てる創作掛軸『墨美神®︎きもの掛軸』を展開。
(※墨美神®︎は登録商標です)
web site URL:https://hoca.amebaownd.com/

珠江
日本書教育連盟師範
毎日書道展等で、入賞、入選多数。NYにて個展4回。デモンストレーション多数。
書道教室「宝珠会」開校、主宰。コロンビア大学にて書道指導。22年間の在米後帰国。
恵比寿に「書の道」開校、主宰。通算1000名以上に指導。中目黒、大阪帝国ホテル等で個展。国立美術館、東京都美術館等に出展、受賞。

長嶋芙蓉
神奈川県秦野市出身。
幼少期より書道を通じて墨に触れる事を覚え、型にとらわれない発想力でイメージを形に変える幻想的な描画を得意とする。
2019年には災害と女性をテーマにした作品が「復興大臣賞」を受賞。
2023年、飛躍を願い揮毫した干支画が秦野広報新聞元旦号の一面を飾る。これまでに東京芸術劇場や東京都美術館、ホテル等で水墨画パフォーマンスを開催し、文化芸術の可視化表現としてダンサーや音楽家とのコラボパフォーマンスも多数手掛けている。

Shiroki
武蔵野美術短期大学卒
国内外でオリジナルのインクを使ったアーティストとして活動し、コレクターも年々増えている。デンマークの元副首相もShirokiの作品を気 に入ってくださり、所蔵している。 歌舞伎俳優の書作品指導や、教室も持ち、広く活動の範囲を広げている。
私は、アートと書を通じて世の中の人々に生きるエネルギーと安らぎを与えたいと願っています。
エネルギッシュに生きていくには、果敢に攻めるだけでなく、心の安らぎも必要だと思います。
心のゆとりとは、動と静を切り替えられることです。
そのゆとりがあれば、自分さえ良ければという考えから、他人を思いやる気持ちが芽生えると思います。
私は、お互いに未知の可能性を引き出し、嘘偽りなく助け合う世の中にしたい。

TOHIONA
アーティスト 絵本作家 浮世絵師
代々木アニメーション学院卒業
株式会社一進堂(書店)とのコラボ企画として、RION(カメレオンキャラクター) LINEスタンプ制作
RION(カメレオンキャラクター)絵本制作
現在、株式会社版三にて、漫画キャラクターとのコラボ浮世絵を多数制作している。

時田美鈴
b.1982
大阪出身 東京在住
少女から大人へと成長していく過程。 映画や浮世絵に影響され、それらを特に "目線” に焦点を当てながら表現しています

Samille(さみぃゆ)
北海道出身 大阪在住
大学卒業後、OLとして働きながらモードイラストの専門学校に通い、2017年より活動を開始。

ダイナミックな筆致と余白を活かした構図で人物、風景、ファッションアイテムなどを大胆に描写する作品を得意とする。
ファッションイラストという枠に捉われることなく、トレンドと共に“時代の空気感”を切り取る作品を描き、多くの企業の広告、商品、HP等のイラストを手掛ける。
イベント等で描くパーソナルなスタイル画や、ステージでのライブドローイングの評価も非常に高い。

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