SCHEDULE
2021.7.2 fri ~ 7.11 sun
EXHIBITION
佐藤惠一郎 個展
『創作和家具と玉手箱』
〜正統派職人の新発想と杢目の美〜
佐藤惠一郎 個展
『創作和家具と玉手箱』
〜正統派職人の新発想と杢目の美〜
日 時 | 7月2日(金)〜11日(日) 12:00~19:00 最終日17:00 |
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会 場 | Galerie Lã(ギャルリーラー) 東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル601 |
佐藤惠一郎。昭和9(1934)年、山梨・都留で創業した佐藤木工の三代目。佐藤木工は「嫁入り道具は佐藤木工へ」との触れ込みで繁盛し、家具、仏壇から社寺仏閣まで手掛けてきた。時代は流れて現代に至っても、敢えて時代に抗い挑戦するかのように、自ら職人の腕と魂だけを頼りに、高級和家具一筋で生きてきた、佐藤惠一郎。
住宅の大衆化で大型の和箪笥、仏壇の需要が落ち、さらには量販店での安価で実用的な家具の普及も追い打ちを掛けてきた。
そんな中で佐藤は、敢えて孤高のオンリーワンを目指す。制作技法はあくまで伝統的な木工職人のそれに拠りつつも、技法や意匠においては伝統家具では用いられない破格の組み合わせで、今までになかった作品を生み出す。つまり、板を組み合わせて家具を作る「指物」の技術と、軸と組物を用いる「宮大工」の技術の双方を駆使できる佐藤だからこそ生み出せる作品である。普通は木工職人が踏み出すことのできない世界に踏み出す佐藤。あまりにもオリジナルであるために、仕上げに出す漆職人や金箔職人も前例がなく驚き、躊躇する。
職人の腕は木工の技法だけではない。日本の和家具は「材」が命である。木材の王「欅(ケヤキ)」の銘木を求め収集し、20年、30年と乾燥で寝かせることは欠かせない。そして、欅ならではの最高の「杢目(もくめ)」が際立つ材の一部だけを贅沢に使う。日々忙しく効率を追求した現代が忘れた「美」がそこにある。
佐藤の作品に息づくのは、厳かで近寄りがたい、崇高な美。大切に使いたくなる家具、調度。それを佐藤は生み出したいのである。
その極致が、佐藤の生み出す「玉手箱」である。貴方のいちばん大切な何かを守るにふさわしい容器、それを「玉手箱」と呼ばず、なんと呼ぼうか。貴方のいちばん大切な時、家族のいちばん大切な時、いちばん大切な人の前途の言祝ぎに、たとえば、旅立つ娘に、うれしい孫の誕生に「玉手箱」が、大切に何かを守ってくれるのではないか、と思うのである。